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モンダヴィ家のワイン造りに
新たな歴史の一頁を書き加えた
“CONTINUUM”

 カリフォルニアを代表するワインの造り手として歴史をリードしてきたモンダヴィ家にとって、2008年はいろいろな意味で忘れられない年となるだろう。カリフォルニアワインの父と謳われ尊敬を集めてきたロバート・モンダヴィ氏が逝去したのは昨年の5月16日。しかし、それを前にして新しい時代の到来を告げるべく、モンダヴィ家にとって5番目のワインとなる「CONTINUUM(コンティニュアム)2005」がリリースされたからだ。
「コンティニュアム」は故ロバート&マーグリット夫妻、ティム&マルシア兄妹というモンダヴィ・ファミリーが2005年に興したワイナリー。初リリースとなる2005年産はカベルネ・ソーヴィニヨン58%、カベルネ・フラン23%、そしてプティ・ヴェルド19%というユニークな品種構成のメリタージュワインで、葡萄原料の87%はモンダヴィ家が永年慈しんできたトカロン・ヴィンヤードの一画、マージョリー畑から、残り13%はスタッグス・リープの畑から供給されている。カベルネ・ソーヴィニヨンの樹齢は一番若いものでも25年。カベルネ・フランとプティ・ヴェルドは15年前に植樹されたもので、4フィートx4フィートの間隔で密植栽培された葡萄を低収量で手摘みしたものだ。
 金地に白く葡萄樹のシルエットを浮かび上がらせ、室町時代の屏風画を思わせるような印象的なラベルは、ティム・モンダヴィ氏の娘、キアラさんが描いたもので、トカロン・ヴィンヤードに降り注ぐ夕日とカベルネ・フランのシルエットをキャンバスになぞったものだという。
 リリース直後から話題沸騰のこのワインはパーカー・ポイント95+を獲得するなど高い評価を得ているが、生産量は1500ケース。国外への出荷は日本だけ。昨年11月末から1本2万3000円で発売されるや否やすぐに売れ切れとなっており、今春に予定されている2006年産ワインの入荷待ちという状態になっている。
「2004年にモンダヴィ・ワイナリーが買収されてからいろいろなことがあった。父ロバートが53歳の年にロバート・モンダヴィワイナリーを起こしたように、奇しくも、自分も53歳の年に新しいワイン造りを始めることになった。コンティニュアムの最終的な目的は、自分ができる最高のワイン、しかも世界のトップクラスのワインをつくることであり、少量生産ながらたったひとつの最高品質のワインをめざしている」と、ティム氏。「自分はドライなタンニンは好まない。グリーンで口に荒々しく感じるタンニンではなく、父が常々言っていたように、『ワインの善し悪しは食事と合うかどうかで決まる』という評価に応えうるワインを造っていきたい」。
 醸造面では、小振りのオークファーメンターを用い、長いマセレーションと発酵中のポンピングオーバーをこまめに行う。アルコール発酵が完了した後も下に澱が貯まったところを撹拌することにより、スキンコンタクトの間の澱の状態をフレッシュで、健康度の高い状態に保っている。圧搾にはバスケットプレスを用い、すぐにフランス産の新樽100%に移し替えるが、その際にプレスワインはフリーランジュースと一緒に戻され、長い期間バトナージュを行う。これはブルゴーニュのピノ・ノワールでは一般的だが、カベルネでは珍しい手法。こうして樽熟成を15か月行った後、清澄や濾過処理をしないでそのまま瓶詰めされている。「赤ワインの樽貯蔵の過程でシュールリーを行うと低温下では色度が淡くなるが、このワインはプティ・ヴェルドが19%もあるので色乗りの心配はない」。
 こうして造られた「コンティニュアム2005」は凝縮した色合いと豊かな果実味を湛えながらも、しなやかできめ細やかなタンニンがもたらす滑らかな舌触り、バランスがとれ、長熟の可能性を秘めた味わいとなっている。
 コンティニュアムという言葉は“連続”を意味しているが、そこにはモンダヴィ家が培ってきたレガシー(伝説)やヘリテイジ(遺産)を継承し、更に未来に向かって前進するというニュアンスが込められているという。モンダヴィ家ではナパ・ヴァレー東部にあるプリチャード・ヒルの畑約34haの畑を購入しており、これから造られるコンティニュアムの新ヴィンテージワインがどんな方向に進化していくか目が離せないようだ。