COLUMNISTS
ベタンヌ&ドゥソーヴ
ベタンヌ&ドゥソーヴ・ワインアワード2007
我々は3年前からその年の最高だと思われるワインと人物を表彰している。もちろん選ばれたワインがそのカテゴリーの中で絶対的な存在だとは言わない。このような格付けはよい意味で主観的だからだ。それでも、表彰されたワインや候補に挙がったものはみな、すべての愛好家が求めているような素晴らしいワインだと我々は考えている。
今回我々が選んだ中には今まであまり注目されていなかった素晴らしい産地のものがある。よいワインは今や多様で、必ずしもAOCワインや最もプレステージある地域のものだけでなく、かつては二次的に考えられていた産地にもよいワインがある。
我々は先ず、単純だが心地よく飲めるワインを選んだ。我々のフランスワインの新しいガイドブックには7000以上のワインが紹介されているが、それがみな“コンクールのためのワイン”ではなく、その中の多くはフレッシュでおいしい果実味があり、すぐに楽しめるワインだ。
例えば、フルーリ・ペール・エ・フィスFleury Père et Fils(オーブ県クルトゥロン)のシャンパーニュ、ブリュット・ロゼはこのタイプのワインを代表する最も魅力的なものだった。このビオの生産家はよい葡萄を作るだけでは満足せず、最終製品のワインに繊細さ、複雑さ、葡萄のもつ自然な要素をすべて残している。これはある手腕が問われることだ。このシャンパーニュ・ロゼの微妙な果実味は土地と光と夏が密接に融合していて、更に透明さがあってそれが素晴らしい感動を与えている。
また、新しい才能ある生産家を絶え間なく発掘することも我々の仕事だ。今年我々が発掘した中で、いくつか際立ったものをあげる。まず、ロワール渓谷のアペラシオン、モンルイの若い栽培家たちだ。彼らは集団でその辛口と甘口白ワインの発展に意欲的に取り組んでいる。別の地方では、シャトーヌフ・デュ・パップのドメーヌ・ポール・デュリウPaul Durieu、アルザスのドメーヌ・アンドレ・リフェルAndré Rieffel、ラングドックのドメーヌ・モンカルメスMoncalmès、そしてジュランソンのドメーヌ・ベロックBellaucを挙げておきたい。
ピレネーにあるAOCジュランソンの甘口ワインはまだ殆ど知られていないが、きちんと造ると非常に魅力的なワインになる。ドメーヌ・ベロックの新しいオーナー、ジル・シェフェンのワインがそうだ。資金がなく小規模でワイン生産を始めても高級ワインを目指す冒険がまだフランスではできるということを彼のワインが証明している。
フランス以外のワインを数1000種試飲し、次の5つを選んだ。
〈スイス〉 Clos des Corbassières Cornalin 2004-Domaine Cornulus
〈イタリア〉 Etna Rosso Serra della Contessa 2004-Domaine Benanti
〈アルゼンチン〉 Val de Flores 2004-Vignoble Rolland
〈オーストリア〉 Riesling Heiligenstein Lyra 2003-Weingut Brundlmayer
〈スペイン〉 Valdegadiles 2003-Dominio de Atauta
今年最高の外国ワインを決める際に二つのワインの間で評価が分かれ一つだけに絞ることができなかった。一つはスイスのドメーヌ・コルニュリュ。ここの葡萄畑はアルプスの頂上の残雪のある場所に近く、急勾配で耕作が難しい土地だ。そのワインは驚くほど繊細で純粋な構造で、静かに正確に造られたことを感じさせる。造り手のステファンヌ・レナールは、ヴァレのテロワールの名声を世界的に高めている才能ある栽培家の一人。ヴァレは何世代も前から評価される価値が十分にあるテロワールだ。
もう一つは、ヴィニョーブル・ロランのマルベック。力強さの中に調和のある傑作で、試飲した誰もがワイン自体そして彼自身を評価した。誠実で洗練された葡萄栽培や葡萄を尊重した醸造がワインの長所となってはっきり現われている。なぜなら、ロラン氏は葡萄の持つすべての長所をワインに反映するすべを心得ているからだ。
フランスの最高のワインを決めることも今回は困難だった。シャンパーニュ以外は例外的なミレジームである2005年が多く提出されたこともその理由の一つだ。我々が候補として選んだワインを次に挙げる。
〈赤ワイン〉
Château Haut-Bailly, Pessac-Léognan 2005
Château Ducru Beaucaillou, Saint-Julien 2005
Château Pichon Longueville, Pauillac 2005
Château Pontet Canet, Pauillac 2005
Château la Conseillante, Pomerol 2005
Château Pavie Macquin, Saint-Emilion Grand cru 2005
Château Palmer, Margaux 2005
Domaine Bruno-Clair, Gevrey-Chambertin 1er cru 2005
Clos de Tart 2005, Morey-Saint-Denis Grand cru
Chanson, Beaune Clos des Fèves 2005
Clos Marie, Coteaux du Languedoc les Glorieuses Pic- Saint-Loup 2005
Clos des Fées, Côtes du Roussillon Village Petite Sibérie 2005
M.Chapoutier, Ermitage l’Ermite 2005
Château Beaucastel, Châteauneuf du Pape 2005
Château Pibarnon, Bandol 2005
Jean-Luc Colombo, Cornas Les Ruchets 2005
〈白ワイン〉
Domaine William Fèvre, Chablis Grand Cru Les Clos 2005
Domaine Alphonse Mellot, Sancerre Edmond 2005
Jadot, Chevalier Montrachet 2005
Champagne Egly Ouriet blanc de noirs vieilles vignes les Crayères
Champagne Jacquesson dég. Tardif 1996
Champagne Vilmart Coeur de cuvée 1999
〈ロゼワイン〉
Champagne Taittinger Comtes de Champagne rosé 2002
受賞者を決めるために上記のワインを再び目隠しで試飲した。すべてのワインが高い水準にあるように思われ決定は非常に難しかった。しかしながら、種類の異なる下記の二つが最も評価され、どちらか一つを選ぶのは本当に不可能だった。
Clos de Tart 2005 香りも構造もずば抜けて素晴らしい。偉大なピノ・ノワールの崇高な表現がすぐに感じられた。
Château Pavie Macquin 2005 味わいとタンニンの強さが見事で、1928年や1945年のようなボルドーの永遠の傑作を想起させる。
最後に「今年の人物」に選ばれた偉大な生産家を挙げておく。
ブルゴーニュ:エリック・ルソー(Domaine Armand Rousseau)
ブルゴーニュ:ジャンマリ&ベルナール・ラヴノ(Domaine Raveneau)
ボルドー:フィリピンヌ・ド・ロシルド(Château Mouton Rothschild)
ボルドー:ジャック&シルヴィー・ギノドー(Château Lafleur)
アルザス:オリヴィエ・ウンブレヒト(Domaine Zind Humbrecht)
ローヌ:マルセル・ギガル(E.Guigal)
シャンパーニュ:ジスラン・ド・モンゴルフィエ(Bollinger)
シャンパーニュ:リシャール・ジョフロワ(Dom Pérignon)
この素晴らしい人たちの中から我々はエリック・ルソーを表彰したかった。彼は家族経営のドメーヌを率いるのに50歳近くまで待たなければならなかった。彼は本当にその地位を取り戻した。ジュヴレ・シャンベルタンでは一番の、ブルゴーニュでは最も偉大な五指の醸造家の一人だ。比類のない葡萄畑を相続していることだけがこの優位さを説明するものではない。1999年から、彼は少し収穫率を落とし、すべてのワインを同じように注意深く醸造した。その結果、エリックが造るワインはどれも、想像もつかないような繊細なアロマに密度が高く純粋な構造が結びついている。彼の造るシャンベルタンは世界で最も完璧なピノ・ノワールの表現が出ているワインとして、今後ロマネ・コンティのすぐ後に続くだろう。2004年のような微妙な年でもワインは真っ直ぐでしっかりしている。あまりよくない年にブルゴーニュワインによくあるいい加減な味は、人間的な不手際によるものでしかないことが、彼のワインを飲むとよく分かる。