[日本市場トレンド]
為替差損解消の値上げ実施
それでも消費は上向きなのだが、、、
「ひところに比べると、イタリアワイン市場は活気をとり戻している」と多くの関係者が話すようになった。それを裏付けるかのようにイタリアワイン輸入量も2005年を底に右肩上がりのカーヴを描きはじめた。2007年の輸入量は1月〜10月(前年同期比2.2%増)までの傾向がそのまま続くと仮定して計算すると264万ケースになる。この調子が持続できれば1〜2年のうちに、“日本におけるイタリア年”の企画で盛り上がった2001年、2002年の300万ケース水準に到達することも可能だろう。
インポーターの販売量も「2割増」(サントリー)、「15%増」(日欧商事)など、久しぶりに大幅な増加を達成している。しかも、2007年は春先に為替のユーロ高を理由に販売価格を引き上げているため、販売数量より販売金額の増加度合いがさらに大きいのが特徴だ。
この間、飲酒運転防止キャンペーンの実施に伴い、公共交通機関の少ない地方都市の料飲店におけるワイン販売が減少してきた。またスーパーのマネキン販売の自粛で小売店頭でのワイン販売にも影響が及んだ。しかし、こうした販売環境の変化もすでに3年が経過し、少しずつ新しい販促手法の芽が出始めている。スーパーでは店頭試飲宣伝に代わって食材とのクロスマーチャンダイジングや冷蔵ショーケースの利用など、新たにワインを露出させる方法が生まれている。業務用需要もすでに2006年後半から「料飲店の客足が戻ってきた」という指摘がされてきたが、2007年になるとそれが首都圏だけでなく地方市場にも波及してきたといわれる。「ここにきてようやく関西圏の業務用需要が安定してきたし、名古屋のマーケットも年々大きくなっていると実感している」と、大手インポーターは語っている。
2007年3月〜6月にかけて実施されたプリマヴェーラ・キャンペーンも市場拡大に貢献した。「このキャンペーンに全国500店の参加があり、ここでの販売が今年の業績アップに大きく貢献した。これをきっかけに、これまでなかなか入り込めなかったGMSやCVSにもワインを納入できるようになった」(日欧商事)。
イタリア貿易振興会など在日イタリア機関が中心になって企画したこのプリマヴェーラ・キャンペーンは、装いを変えて2009年秋にも実施する予定らしい。ただ、このプリマヴェーラ・キャンペーンにしても秋に開催した「ヴィニタリー東京」にしても、一部の人と企業に偏った局地的な催しという感が否めない。せっかくの機会なのだから、イタリアワイン関係者全体で取り組むことができて、もっと大きく盛り上がるイベントにすることはできないものだろうか。
イタリアワインの売れ筋はやはり店頭売価1000円前後のワインである。この価格帯まで売価が下がってきたキアンティやモンテプルチャーノ、ソアヴェ、シチリアなどは比較的大量に売れている。一方で今回値上げを余儀なくされた商品は苦戦している。さらに、それらより安いマグナムボトルや3リットル入りBIBも売行きは好調だ。こうした低価格帯の商品の中にはスクリューキャップを採用するものが現れ、市場もスムーズに受け入れている。今後はイタリアワインもスクリューキャップやBIBを採用するものが増えていくだろう。
一方、レストラン直売を主体にする小規模インポーターの業績は依然として好調だ。値段はやや高めでも“ビオワイン”や小規模生産者の造る個性的なワインを上手に紹介することで、その存在価値を高めている。
イタリアワイン独自の品質等級であるDOCGやIGTをめぐって幾つかの問題がおきている。ひとつは際限なしに増え続けている感のあるDOCGだ。こんな産地までと思えるところまでDOCGに昇格している。そうとう小まめに追いかけていないと正確に覚えられない。
もうひとつはIGT。このカテゴリがイタリアワインをとても複雑にしている。「IGTのせいでイタリアワインから消費者がどんどん離れてしまっている」と言い切る人もいるほどだ。それは、このカテゴリの中に、@DOC未満ヴィーノ・ダ・タヴォラ以上の比較的安いワインと、AスーパーIGTと称される高価なワインが混在しているからだ。消費者は一見しただけではそれがスーパーIGTか廉価IGTか見分けがつかない。そしてその間隙を縫ったきわどいビジネスが生まれている。実話をひとつ紹介する。「輸入原価600円のIGTワインを店頭価格7000円で販売。インターネット・ショップではそれを“半額2本セール”で1本3500円で売っている」というもの。
ネット・ショップではいろいろなワインが売られており、一般の人には分かりにくい。しかし、そうしたからくりが一度表面化すればイタリアワイン全体のダメージになることは必定。IGTワインは心して丁寧に対応しないといけない。
スプマンテは泡ものブームに乗って売行きが好調だ。特にプロセッコの売行きがよくなっている。しかしアスティ・スプマンテだけはこのブームから置き去りにされた格好で、総じてスプマンテ輸入量は横ばいだ。ブランド間の競争が激しいこと、急激なFOB価格の値上がりでかつてのようにリーズナブルな価格を提示できなくなったこと、甘めのスパークリングワインはゼクト同様売りにくくなっている、などの要因が指摘されている。
2008年市場は不透明だ。インポーターは2007年の好調を基に2008年も積極的な販売計画を立てるだろう。しかし、2007年に続く値上げを市場がどのように受け止めるかによってその成り行きは大きく変わってくる。だから今の時点では何とも判断しがたい。
2007年の値上げ理由は為替のユーロ高だった。しかし新しい年の値上げは蔵出し価格の高騰に伴うもの。すでに価格が天井知らずに高騰するデュラム小麦のせいでパスタ類は値上げ必至。ここ数年の生産減と資材費の高騰が深刻なワインも当然高くなるだろう。2007年の収穫予想を左に掲載したが、フリウリ、ヴェネトを除いて軒並み10%以上の減産である。これは特に低価格ワインの蔵出価格に大きな影響を及ぼすだろう。すでに「2008年のFOBは軒並み上昇する。中には20%増というものもある」という話も出ている。インポーターが輸入に関わるコスト削減を図ってもこれほど大幅な価格上昇は吸収できない。だからといって、「ここでもう一度価格を上げればイタリアワインの市場シェアは落ちるだろう」。イタリアワインは年初からきわめて厳しい事態に直面している。