戒律に基づいて造られる
ユダヤ教徒向けボルドーワイン
ポムロール、シャトー・ボールガールなどボルドー地方に4シャトーを所有するフォンシエ・ヴィニョーブル社は2001年からユダヤ教の戒律に基づいて特別に造る「ヴァン・カシェール」(Vin Kasher)を醸造しているが、このほどパリでこのワインを紹介した。
「ヴァン・カシェール」は収穫葡萄から瓶詰めに至るまでの一切の作業をユダヤ教徒の「ショムリム」と呼ばれる人たちが行い、シャトーの醸造担当者は彼らに技術的な指示を与えるだけでワインそのものに手を触れることができない。圧搾機やタンクなどすべての機材が醸造前に熱湯で消毒され清められ、醸造が終わるとワインの入ったタンクは封印され、澱引きなどの作業も、その都度「ショムリム」が封印を解いて行なう。
ユダヤ教徒が造ってもワインは通常のシャトー物と同じラベルで売られるため、ワインの個性がシャトーの名にふさわしいものとなるよう、畑の選択、ブレンドなどにシャトー側は大変気を配るという。
フォンシエ・ヴィニョーブル社が販売している「ヴァン・カシェール」はChateau Bastor-Lamontagne(ソーテルヌ)、Les Ramparts de Bastor(前記のセカンドワイン)、Le Benjamin de Beauregard(ポムロール、シャトー・ボールガールのセカンドワイン)、Chateau Saint-Robert(グラーヴ赤)。生産量はいずれも3000〜9000本と限られているが、フランスのユダヤ教徒の間で「ヴァン・カシェール」の需要は年々高まっているという。
ワインだけでなく「カシェール」として作られる食品も数多くある。どの製品も自然の添加物しか認めず、トレーサビリティーが通常の物よりしっかりしていることから、米国では「安全な食品」としてユダヤ教徒でない人たちも関心を示しているという。