No.60 Mar.. 2002
ブルゴーニュワイン
 


日本市場のブルゴーニュ、その実情と課題
ブルゴーニュは難しいマニアの酒
この定説を打ち破れるか


---大事なことは、ネゴシアンのワインが良いか悪いかではなく、ブルゴーニュをきちんと捉えて消費者に提供しているか否かである。
  ワイン・コンサルタント 馬渡美多氏

 ブルゴーニュワインのフレーヴァーには、他の地域では見出すことのできない個性がある。特にヴィラージュワインのテロワールから生まれる特性は、ニューワールドを圧倒する力を持っている。しかし、AOCブルゴーニュ・ルージュやAOCブルゴーニュ・ブランはややインパクトに欠ける。
 一般の消費者の嗜好は、パーカーがどうこう言うからではなく、どうしても濃縮したもの、香りの強いもの、どちらかというと造られた″という感じのワインに走りがちだ。
 ブルゴーニュの抱える最大の問題は、生産量そのものが足りないことにある。だから人気のメオやルーミエなどは、あっという間に右から左で終ってしまう。ドメーヌ・メオ・カミュゼが、ブルゴーニュ・ルージュとマルサネをドメーヌものから外し、栽培者からブドウと果汁を買いつける方法に変えた。それによって生産量を増やし、自らのスタイルをより多くの人に味わってもらうという方向に転換したわけだ。
 もう一つの問題は、ネゴスとドメーヌの品質差だ。それはこういうことだ。ボルドーを例にとると分かりやすい。これまでネゴスは、AOCボルドーから村名ワインま
でを造り、それによってわれわれはメドックの村の特徴を掴んできたわけだ。ネゴスはワインの鑑定家で、村毎のスタイルをきちんと消費者に理解できるように提供してきた。ところがシャトー元詰が増えると、消費者にはより多くの幅広いものを見る機会が増えた。そして、ネゴスとシャトー元詰の品質の差に気付き出した。それでネゴスのものが減ってしまった。シャトー元詰をドメーヌ元詰に置きかえれば、そのままブルゴーニュの説明になる。
 しかし、今でもワインの用途によっては、ネゴスの力の強いところが残っている。それはホテルや航空会社など、ある程度大きい需要のところだ。ここではドメーヌはまず太刀打ちできない。ビジネスクラスでもファーストクラスでも、量的な供給力がないので、ドメーヌものを見ることはまずない。
 大事なことは、ネゴスが良いとか悪いとかではなく、ブルゴーニュワインをきちんと捉えて消費者にワインを提供しているか否かである。コート・ドールの中でも、
コート・ド・ボーヌ風のAOCブルゴーニュ・ルージュを造っているのか、コート・ド・ニュイ風のそれを造っているのかがはっきりしていて、それが消費者に分かれば、
ネゴスものでも十分に楽しめると思うからだ。私個人は、初心者にはネゴスもののAOCブルゴーニュ・ルージュを、少し詳しく知りたい向きにはドメーヌものを、という感覚で薦めている。
 また、価格的にはAOCブルゴーニュ・ルージュも安くなっていて、ドルーアンなどは小売2000円になっている。しかしドメーヌもののAOCブルゴーニュ・ルージュは
4000円程度だ。このように2000円〜4000円とかなり幅がある。
 ドルーアンはネゴスの中では価格が良心的だ。グランクリュも相対的には安い。あのクオリティで、あの値段というのはドメーヌものでは難しいのではないか。そして一貫したスタイルを持っている。ルイ・ラトゥールの良さは安定性だ。どのワインにも共通するスタイルがある。赤よりも白に好感がもてる。ルイ・ジャドはブルゴーニュから少し抜けて、多少カリフォルニア的なヒントがある。最近は抽出を多目にしているような気がするのだが…。ブシャール、シャンソンなどボーヌのネゴスは、従来の伝統的なスタイルだ。これまでは畑の潜在力を引き出せていなかった。醸造とエルバージュに問題があったのだろう。オーナーが変わってそれが改良されてきている。
 ドメーヌものの中でもアメリカを意識したワインは、樽香が先に来る感じがする。
多くのドメーヌは今、自ら元詰する方向に進んでいるが、やがては生産量の何割かをネゴスに出荷するという伝統的なスタイルを見なおすのではないか。ドメーヌ経営は不安定だからだ。いずれまたネゴシアンがブルゴーニュのもう一つの柱になるだろう。その方がかえって良いドメーヌワインができる。自分の良いものに集中できるからだ。

 

◆ポート&マデイラ
太陽と海の国」ポルトガルを紹介する
ネットショップ「メルカード・ポルトガル


◆くろーずあっぷ
セルヴォーレワインストーリー

◆くろーずあっぷ
ローヌ溪谷その多様なワインの魅力を探る第21回シャトーヌフ・デュ・パプ その2

◆Overseas News
グランヴァン・ド・ブルゴーニュの表示が可能に

2002年フランス最優秀ソムリエ29歳のビロー氏

 
2/5

表 紙
 
Copyright© 2002
ウォンズ パブリシング
リミテッド