March 1998

白ワインも健康に良い
白ワインの効用について

メルシャン酒類技術センター 佐藤充克博士に聞く

 ヒポクラテスは「薬の中でワインは最も有益であり、薬効をもつ溶剤として用いられ、傷薬にもなる。赤ワインは生長に役に立つ。白ワインは肥満防止に良く、利尿効果も高い。黄ワインは食物の油化に非常に効果がある」と述べている。
 赤ワインのもつポリフェノールか動脈梗化や心疾患に効くことは多くの人が知る所だ。同様に最近は白ワインについても殺菌効果があるといわれている。そこで、ワインの効用に詳しいメルシャン酒類技術センターの佐藤充克博士に「白ワインの効用」について聞いた。

@白ワインは大腸菌、サルモネラ菌等にたいする抗菌力が高い。
 大腸菌やサルモネラ菌を10分間白ワインに入れておくと、初めに10万個あったものが数個になってしまう。同時に赤ワインで試すと残った菌の量は白ワインより一桁かニ桁ぐらい多い。しかし20分たつと白ワインも赤ワインも菌はみないなくなってしまう。つまり殺菌の即効性があってよく効くのは白ワインの方が優れている。
 一般にアルコールには殺菌力がある。最も効果的なのは75%濃度のアルコールだ。だから手指の消毒には75%アルコールを使う。ワインのアルコールは12%程度。この程度のアルコール分では菌は死なない。ところが液体のpHが低くなってくるとアルコール分が少なくてもだんだん抗菌力が出てくる。有機酸が一緒にあると12%アルコールでも75%アルコールのような効果が出てくる。白ワインの方が赤ワインよりも有機酸が多くてpHが低い。だから赤ワインより白ワインの方が効果的というわけだ。
 O−157も大腸菌の一種だから白ワインが効果的だ。子どもと老人がO−157にかかる。あれは菌に対する抵抗力がないからだ。だから生ものを食べる時には白ワインを一緒に飲むと良い。しかし子どもに学接給食で白ワインを出すわけにはいかない。

A白ワインはカリウムの含有量が多く、利尿作用がある。
 カリウムが多い食品を多く摂れば利尿作用があることは、ヒポクラテスの昔から分かっていたこと。ワインにはそのカリウムが多い。カリウムを摂ると利尿作用があって身体の新陳代謝が良くなる。代謝が良くなれば当然痩せるから、肥満防止にも役立つ。
 食塩をたくさん摂ると血圧が高くなる。逆にナトリウムを体内から排出すると血圧が下がる。血圧を下げるには運動が一番よい。食べ物なら果物や穀類、ワインを多く持っている人は血圧が低い。ワインでどうして血圧が低くなるか。それはワインのカリウムが多く体内に入ると、その分ナトリウムが体山から排出されるからだ。結局、食塩を制限したと同じ効果が出て血圧が下がる。

B白ワインは骨粗しよう症に効果的。
 白ワインにはカルシウムとマグネシウムが同程度含まれ、ミネラルバランスが良い。カルシウムだけをたくさんとっても骨粗しょう症予防にはならない。必ずカルシウムの半分の量のマグネシウムも摂らなければいけないというのが現在の常識である。マグネシウムを一緒に摂らないとちゃんと骨にならない。
 白ワインにはカルシウムとマグネシウムがちゃんとバランス良く入っている。だから骨粗しょう症に良い。カルシウムだけ持っていてもダメ。北欧では日本人の10倍ものカルシウムを摂っているが骨粗しょう症は多い。日本人は海藻などでマグネシウムも一緒に摂っているからカルシウムの摂取量が少なくても北欧より骨粗しょう症が少ない。白ワインはマグネシウム源としても役に立つ。
 ワインはアルカリ食品。食品がアルカリ食品か酸性食品かというのは、それを燃焼させて灰分にした時のpHがどうなるかで決まる。その時にpHがアルカリになればアルカリ食品。あんなに酸味の強いワインがなぜアルカリ食品なのだと思う向きもあるかもしれないが、ワインの場合はカリウムなどがたくさん入っているから灰にするとちゃんとアルカリを示す。ところが日本酒を始め他の酒類は皆酸性になる。酒の中ではワインだけがアルカリ食品だ。

C白ワインは有機酸含有量が多く大腸癌防止に役立つ。
 洒石酸は体内での吸収が悪い。そのまま排出される。しかし酒石酸やリンゴ酸など有機酸含有量の多い白ワインを摂取すれば腸内のpHがちょっと下がる。PHが若干下がると悪玉菌は死ぬ。ところが善玉菌は何でもない。それで陽内細菌群のバランスが良くなって、大腸癌を防止できる。「酢の健便法」も腸内のpHを少し下げて悪玉菌を増やさないという効果だ。しかし大腸癌防止で一番良いのはなんといっても便秘をしないこと。ついでに有機酸の多い白ワインを飲んでいると発癌物質が少なくなるから効果があがる。

D適量は毎日100mL〜360mL。これを食事と一緒に飲むこと。
 一日に飲む適量はアルコール総量で10〜30g、ワインとしてなら100〜360mLぐらい。お医者さんの言によると、「医者の立場としては200mLぐらいにしておけとしか言えない」らしい。これは糖尿病患者を意識してのものだろう。しかし、何も病人に飲ませるわけではないから一般的な話としてはニ人で1本が適量ではないか。毎日飲めば効果があがる。毎日飲むのが一番良い。
 そしてこのぐらいの量ならアルコール中毒にはならない。なぜなら人間の身体は1時間に7gのアルコールを完全に代謝できるからだ。30gのアルコールを接取したとすれば4時間ちょっとで完全にアルコールは身体から抜ける。ニ日酔いはそれ以上飲んでいるから起こる。
 日本人はアイソザイムというアルコールを代謝する酵素が欠けている人が多い。だからアルコールを無毒化するのは人によって違いが出てくる。日本人が酒に弱いのはこの酵素が欠けているからだ。人によっては代謝にもっと時間がかかるかもしれない。それにしても30gぐらいなら一晩眠れば全く残っていない量だ。
 ワインを飲むのは食事と一緒の方が良い。というのは胃袋にものがある場合とない場合ではアルコールの吸収が全然違うからだ。アルコールの吸収は、胃袋にものがある場合は半分になるというデータがある。血中アルコール濃度が半分にしかならないのであれば、360mL飲んでも180mL飲んだのと変わらない。ところが胃袋に何もなくて飲むと全部吸収される。だからアルコールの害が出やすい。
 就寝前にカロリーを摂ると肥満になるというがアルコールのエネルギーは糖とは違って貯まらない。寝る前に飲むとカロリーになって残るがこれは肥満の基にはならず、熱になって発散される。少量の寝酒は全く問題ない。
しかし放み過ぎは絶対いけない。     ●



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