余話。その4

日本のワインづくり

− 変遷と未来像(1-3) −

 話しを本題に戻します。

 日本ではワインを目的としたブドウ農業は成立しないのだろうか。現実にはそれがうまく行かないで、国産ワインは原料が不足した状態が続いています。

 うまく行かない理由として語られてきたのは、すでに挙げた二つの事柄です。一つは醸造に適したヨーロッパ系ブドウが日本の自然条件にうまく適応しない。もう一つは、農業経常上、有利な作目となっていない。

 もしこれが本当に真実なら、日本でワインをつくること自体が無謀であり、敢えて行っている現状は趣味的行為だと言わねばなりません。まず、実態を見ておきましょう。

 農林水産省農産園芸局果樹花き課が行っている「果樹栽培状況等調査」をもとに、ワイン原料に仕向けられるブドウの動向をマクロに押さえると、おおよそ次のようにモデル化できます。

 国産ブドウ仕込総量 (t/年)1万5000〜2万
内、醸造専用品種  (t/年)5000前後
   生食兼用品種  (t/年)1万〜1万5000

 醸造専用品種はワイナリーが自園で栽培するもの、および契約栽培するもので、生食兼用品種やラブルスカ系ブドウは除外しています。具体的には、シャルドネ、メルローなどのヨーロッパ系品種とセイベル氏によって醸造を目的に交配きれた品種を指します。

 これに対し、生食兼用品種は、コンコードナイヤガラ、甲州など、現在は大部分が醸造に仕向けられていても、かつて生食兼用であり、今日もなお生食用ブドウの栽培技術のもとで生産されているものをすべて含みます。

この数量が年によって変動するのは、作柄の豊凶、収穫時の品質、生食用市場の相場などに影響されて、醸造向の数量が著しく増減するからです。なお、主要品種の甲州をみると取引数量は1980年前後に1万tを記録していましたが、現在は6000t程度にまで減少しています。これは山梨県のブドウ農業の構造的な要因によるもので、ここでは触れずにおきます。

 なぜなら、日本のワインづくりについて語るべき主題は、醸造専別品種が現状で5000t、これは栽培面積約1000haのブドウ畑から収穫されているのですが、その5000tがどのような変遷の結果としてあるのか、そしてその将来はどう展望できるのか、というところにあるからです。これは川上善兵衛が全否定してしまった領域で絞られてきた物語なんです。



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