トスカーナ各地に畑を所有し
テイラーメイドのワインづくりを進める
ルフィーノ社フォロナーリ家の3代目オーナー
アドルフォ・フォロナーリ 氏
トスカーナの生産家ルフィーノは昨年、創業130周年を迎えた。また、数年前にコンステレーション・ブランズと提携関係に入ったことに伴い、日本市場では昨年3月からコンステレーション・ワインズ・ジャパンが新しい輸入総代理店として販売を開始している。1913年にルフィーノ社の経営を受け継いだフォロナーリ家の3代目、アドルフォ・フォロナーリ氏が3年振りに来日した。
「我が社は強力なブランド力を持ち、スーパーでも広く販売されていることから実際以上に巨大だと思われているが、ワインづくりの基本はクラフトマンシップのワインをつくることにある。シングル・エステートのワインを産出するブティックワイナリーの性格ももっている。こうした両方の性格を有する造り手であることが、市場で独自の地位を獲得してきた源泉となっている」。
ルフィーノが所有する畑は、現在トスカーナ州内7カ所。キャンティ・クラッシコ域内にはグレトーレ、サンテダーメ、モンテマッソの3カ所。また、フィレンツェに近いキャンティ・コッリ・フィオレンティーニ地区にはポッジョ・カッシアーノ農園を所有し、サンジョヴェーゼのほかカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ピノ・ネロを栽培し、ふたつのトスカーナIGTワイン「モドュス」と「ネーロ・アル・トンド」(日本市場未発売)を産出している。サンジミアーノにほど近いキャンティ・コッリ・セネージ地区にあるラ・ソラティア農園では、シャルドネとピノ・グリを栽培。また、ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノとブルネッロ・ディ・モンタルチーノにもそれぞれ農園を所有している。さらに2001年にはフリウリ州コッリオ地区のワイナリー「ボルゴ・コンヴェンティ」を取得し、畑の改植を進め一層の品質向上に努めている。ここではボルゴ・コンヴェンティ独自のワインのほか、フリウリのピノ・グリを使ったルフィーノ銘柄のワイン「ルミナ」を産出。同じように、ウンブリアではオルヴィエート・クラッシコもつくっている。これら全てをあわせた総敷地面積は1500haに及び、葡萄の作付面積も600haと広大だ。
「歴史をひもとくとサンジョヴェーゼには200種以上の別称があり、現在公的に同定されているだけでもおよそ60の異なるクローンが存在する。しかし、トスカーナで優良クローンとみられ、実際に畑ではっきりとした違いがでてくるのは7〜8種に絞られる」とフォロナーリ氏。サンジョヴェーゼは栽培上の柔軟性に乏しく、標高や気候条件に対して敏感だ。また、多収量になりやすいので、正しい台木とクローンの選択、剪定や樹幹管理による樹勢のコントロールがおこなれてはじめて凝縮した葡萄が収穫される。ルフィーノでは長年こうした研究を重ね、今もよりよい葡萄をもとめて改植を進めている。標高や土壌、クローンなど様々な条件を考慮しつつ、植樹率も4500〜6500本/haの幅で変えているという。
☆「ラ・ソラティア ピノ・グリージョ2006」。100%ステンレス製タンクで発酵熟成。フレッシュ、クリスピーで酸とのバランスに優れ、後口に少し果実の甘さが感じられる飲み口の良いワイン。ラ・ソラティアの畑67haは標高220〜280mの傾斜地にあり、土壌はトスカーナ特有のガレストロ(泥灰土)とアルバレーゼ(石灰岩)。岩がごろごろとしていて、部分的に粘土質のため保水性がある。気候は暖かく雨量も少ない。海から吹き抜ける風によって昼夜の寒暖差が大きい。長年の研究の結果、この地はピノ・グリージョとシャルドネが一番合うとの結論に至った。ピノ・グリージョは2003年産が、ヴィオニエを10%ブレンドしたシャルドネは1997年産が最初のヴィンテージ。
☆「アツィアーノ2005キャンティ・クラッシコDOCG」。アツィアーノはラベルにも描かれているキャンティ特有のタワーの名前で、ルフィーノではこのワインを1980年からつくり続けている。サンジョヴェーゼ100%をステンレスタンクで発酵し、ステンレスタンクと大きな木樽を併用して約9か月熟成。ミディアム・ボディで、きれいな酸を持ち、食事とともに楽しむことができるワイン。価格も2300円と手頃だ。
☆「リゼルヴァ・デュカーレ・オーロ2003 キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァDOCG」。リゼルヴァ・デュカーレはルフィーノにおけるキャンティ・クラシッコ・リゼルヴァの基準となるワインだが、オーロ(ゴールドラベル)は偉大なヴィンテージの時だけ最良の葡萄から造られるワイン。2002年はつくられていない。サンジョヴェーゼ85%に、コロリーノ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロをブレンドし、バリックの2空き樽で5か月熟成させた後、木の大樽で28か月熟成。スミレやサクランボ、プラムなどの果実香と土を思わせる複雑なアロマ、フルボディでありながら滑らかな舌触りが特徴。
☆「ロミトリオ・ディ・サンテダーメ2003 トスカーナIGT」。サンテダーメの畑からは単一畑ワインのキャンティ・クラッシコDOCGや同リゼルヴァDOCGもつくられているが、これはコロリーノ60%にメルロ40%をブレンドしたスーパー・タスカンワイン。「もともと色乗りを良くするために使っていたコロリーノだが、植樹率をhaあたり6500本に引き上げ、単位収量を4.5トンまで抑えたところ、これをサンジョヴェーゼにブレンドしたワインは色乗りだけでなくフルボディで凝縮したワインに変わった。こうして1990年からロミトリオをつくってきたが、畑に植えたメルロが育ち、凝縮度の高い葡萄が収穫できるようになった。そこで1999年からはサンジョヴェーゼに代わってメルロをブレンドするようになった」という。バリックで18か月熟成したこのワインは、カシスやラズベリーにクローブやナツメグなどの複雑なスパイス香が豊か。凝縮しているが、過度な抽出を避けバランスとエレガンスを重視したワインだ。「ルフィーノのワインは、アーノルド・シュワルツネッガーやミスター・ユニバースのようなワインではない。土壌や気候にあわせた葡萄品種を選び、テイラーメイドで食事との相性に優れたワインをめざしている」。