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シャトー・ラグランジュの20年
1984〜2003年産の一大試飲会

サントリーがメドックのシャトー・ラグランジュを買収して今年で20年を迎えた。これを記念して、3月11日、シャトー・ラグランジュで1984年産から2003年産まで20ヴィンテージを揃えた大規模な試飲会が催された。

 

 普通、20年にも及ぶヴィンテージのテイスティングともなると、中には質がはっきりと劣り、シャトー側が試飲させるのをためらうボトルが出る。だから、『20年の垂直テイスティング』と銘打っても一つふたつ欠ける年が出て、必ずしも全てのヴィンテージを試飲できるわけではない。

 また、古い貴重なボトルのストックには限りがあり、こうした試飲会はごく内輪の限られた人数で行うのが普通だ。しかし、そこが真面目なシャトー・ラグランジュの特徴なのだが、20年間、ひとつのヴィンテージも欠くことなく全てを用意した。しかも、地元のネゴシアン、クルチエなど約200人を招待したため、この種の試飲会ではほとんど例のない大規模なものになった。各ヴィンテージそれぞれ20本を用意し、招待客には名前入りの凝ったデギュスタシオン・ノートが配られた。

 買収時から社長を務めるマルセル・デュカス氏は地元でも有名な堅物で、その真面目さ、ワイン造りにかける情熱はメドックでも一目置かれている。さらに、彼をサポートしてきた鈴田健二氏は、初の日本人グランクリュ・シャトーオーナーとなった佐治敬三元社長が指名した優秀なウノローグ。この20のヴィンテージを試飲すれば、このコンビがどんな人柄か本当によく分かる。

 時間を経れば一つ、ふたつ成功したミレジームは出来るだろう。しかし、破綻したミレジームが一つもなく、しかも、完璧に一貫したスタイルを貫いている。こうした継続には相当の堅固な意思が必要で、一本、一本のボトルの味わいよりも、そうしたワイン造りに対する取り組みの姿勢に深い興味を抱いた。大変真面目に造られた、平均の高いワインだ。

■新生ラグランジュへの第一歩、83年12月15日

 サントリーが前オーナーとの間でシャトーラグランジュの買収契約を交わしたのは1983年12月15日。それ以前は約70年間にわたってスペインのセンドーヤ家がシャトー・ラグランジュを所有していた。しかし、大戦をはさんで経済的に難しい状況が続いたことや、13のファミリーで共同所有していたため有効な投資が出来ず、葡萄畑、醸造所、そしてシャトーの建物などはひどい状態で捨て置かれていた。訪れる人もめったになく、廃墟のようだったという。このため、買収後、サントリーは多額の投資を行い、ほとんど一からの再建を迫られた。

 中世にシャトーの一部はボルドーのタンプル騎士団の所領だったと言われるが、シャトー・ラグランジュの歴史が始まるのは1631年から。そして第一次黄金期は内務大臣を務めたデュシャテル伯爵がオーナーだった1842年から1875年までだ。この間に有名な1855年のクリュクラッセの格付けが行われ、サンジュリアンの3級に序された。当時は280haの広大な面積をもっていたといわれる。しかし、サントリーが買収した時、敷地は157haに縮小していた。しかも、そのうち葡萄畑は56haにすぎなかった。このため、1985年から1988年にかけて新たに57haに葡萄樹を植えた。

 また、前オーナーの時代には醸造タンクの容量が十分でなく、最初に収穫した葡萄を醸造し、樽に移し終えてから次の畑の収穫をおこなっていた。このため、1983年などは、ミレジームとして良い年だったにもかかわらず、十分なマセレーションの時間がとれず、かなり薄まったワインになった。こうした反省から、1985年の再建計画では、収穫量が多い年でも余裕をもって対応できるように、57基のステンレスタンクの設置を決めた。既にステンレスタンクの導入が進んでいた時期だが、タンクの周りに冷水を通すジャケット式のものを赤ワイン用に使う例は稀で、メドックではラグランジュが最初だった。

 タンクの容量は220h・あるが、80年代半ばに新たに植えた葡萄樹の樹齢が上がり、質が見違えるようによくなってきた。このため、これまでセカンドワインに使っていた区画の葡萄も、場合によっては小分けにして小さなタンクで発酵させ、シャトーものにブレンドするなど、細かい対応を行っている。

 新しい醸造棟は前オーナーが樽熟成庫として使っていた場所を改装したため、熟成庫は新たに全て建設した。敷地全体に対する建物のバランスがよく計算されており、大変美しいたたずまいだ。

 樽熟成期間はフィエフ・ド・ラグランジュが12か月、シャトーもの18か月。1年目の蔵、2年目の蔵合わせて3棟。1棟が長さ108m、幅11mある。これだけ大きな熟成庫はボルドーでも珍しい。キャパシティは6000樽。全棟、完璧な空調を行っている。作業効率をよくするため、原則として一段の平積み。広々とした空間でゆったりと熟成させている。サントリーの佐治敬三元社長が金に糸目を付けずに作ったシャトーならではの光景だ。新樽比率はシャトー60%、フィエフが20%。

■96年からラグランジュで白の生産

 シャトー・ラグランジュで意外と知られていないのが白ワイン「アルュムス・ド・ラグランジュ」(Les Arums de Lagrange)だ。最初のミレジームは1996年。規定で、メドックで生産された白ワインはAOCボルドーしか名乗れないが、さすがクリュ・クラッセの造る白ワインは異なる。25kg入りの籠に入れ、房を潰さず醸造所に運び入れ、直ぐに圧搾する。そして、樽で発酵させる。2001年産以降は100%新樽を使っている。マロラクティック発酵は行わない。澱を残してタンクに戻し、ブレンドしてから再度樽に戻して熟成する。品種構成はソーヴィニョン、セミヨン、ミュスカデルが6:3:1の割合。バトナージュを行い十分な厚みを出している。樽が良く溶け込んでいるので、樽香が少なく食事とも合う。生産量は60〜90樽。

 「94年〜95年にかけて、フィエフ・ド・ラグランジュにも使えない葡萄畑の若い7〜8年の株を根本で切り、白品種を接ぎ木して1996年産から生産を始めました。こうした場所では白の方が赤より価格が高くなり、経済性が出てきます」。ちょっとしたマジックなんですと鈴田氏は説明する。AOCボルドーながら、グランクリュクラッセのイメージがありプレミアムが付いて高く売れるのだ。

 醸造面ではこの10年、濃縮が話題になり、逆浸透膜や、常温減圧濃縮の技術が試された。しかし、ラグランジュでは醸造面では伝統的な製法を守り、どちらかといえば栽培面での新しい知見を取り入れることに力を入れている。醸造技術ではほとんどのシャトーが一定のレベルに達しており、畑での仕事を丁寧に行い、テロワールの潜在性を如何に引き出すかの競争になっているからだ。

 「シャトー・ラグランジュの葡萄畑面積は113ha。これが約100区画に分かれています。そして、必ずシャトーものになる畑と、セカンドワインにしか使えない畑があります。これははっきりとテロワールが異なるからです」。買収後新たに植えた畑も、葡萄樹の樹齢が上がるにつれて、そのテロワールの実力がはっきりと見えてきたと鈴田氏はいう。

 新しく植えた葡萄樹も20年近い樹齢を重ねることで、シャトーものにふさわしい内容のあるワインを造れるようになってきた一方、古木の中にはやや疲れの目立つものも出てきた。このため、一部の畑の植え替えを検討している。その場合には、現在の作付け割合、カベルネ65%、メルロー28%、プティヴェルド7%を見直すことも視野に入れている。

 「シャトー・ラグランジュは典型的なメドックのワインで、やや堅いという人もおり、メルローの割合をもう少し増やしてふくよかで丸みのあるワインを目指すという意見も社内にはあります。植え替えの際に全体の様子をみて決めることになります」。

■1996年以降、評価が上がり価格も上昇

 新生ラグランジュは20年を経て、はっきりした成果が出てきたことは皆が認めている。特に1996年以降、質に対する評価、そしてシャトー出し値がはっきりした上昇カーブを描いている。言ってみれば、最初の10年は業界の人たちの信頼を得るために慎ましく振る舞ってきたが、その後の10年で押しも押されぬ実力を身につけ、自分自身を表現しはじめた、ということだろう。

 鈴田氏は「常にステップバイステップ。長い歴史の中で見ればすべてが通過点です」と淡々と語りながらも、「この2年位前からわれわれが植えたカベルネ・ソーヴィニヨンがシャトーものに入ってきています。新植の葡萄樹は台木、それに接ぐクローンも慎重に選んだもので、葡萄の質は格段に上です。これから、新植ものの割合が増えるに従ってシャトー・ラグランジュの質はさらに大きく向上すると思います」と自信をのぞかせる。

 また、サントリー・パリ事務所の中西拓也所長は「この20年、一番大事にして来たのは地元の業界の人たちとの信頼関係です。特に、ラグランジュのワインを世界に流通させているネゴシアンに対しては、常に価格を裏切らない品質を保証していくことが基本だと考えてきました」。新参に対する外部の厳しい目を意識して、質を先行させる政策に徹してきたという。

 サントリーがオーナーでありながら、全量ボルドーのネゴシアンに販売し、サントリーの販売分はネゴシアンを通して買い戻すというシステムを堅持してきた。また、プリムールの建値とはかけ離れた価格でスポット販売するといった小手先の商売は一切行わないので、真面目すぎる、融通が利かないと批判されることもしばしばだった。しかし、それが、今日の成功に結びついたと中西所長は考えている。

 プロの間では既にシャトー・ラグランジュの名は浸透している。専門誌にお買い得ワインとして、シャトー・ラグランジュが取り上げられることも多くなった。しかし、末端の消費者における認知度は他のグランクリュクラッセのシャトーに比べるとまだまだ低い。このため、ここ数年、米国を中心とする海外市場で試飲会や様々な催しを積極的に行い露出の度合いを高めている。

 鈴田氏は「ここ1〜2年、ラグランジュの名前が世界市場に浸透し始めているという確かな手応えを感じています。単に、お金をかけて広告を出すより、実際に人と対面してラグランジュを知ってもらうことの方が効果があります」と語る。

 中西所長も、「サントリーを外国人に紹介する時、日本でのサントリーの活動や売上げ規模を言うよりシャトー・ラグランジュのオーナーです、と言った方がインパクトがあり、分かってもらえます」とその効果を指摘する。

 1983年当時の買収金額は8600万フラン、日本円で約16億円。現在の価格はほぼ10倍の150億円程度と見積もられている。純粋な投資としても十分成功したが、なによりもサントリーの酒類事業のイメージアップに貢献している価値は計り知れない。

1984〜2003年 シャトー・ラグランジュ 20ミレジームの評価

2003年:猛暑ながら偉大な質を得た年

 5月は気温が低く変化の激しい天候だった。6月は暖かく、次いで非常に暑くなって、遅れていた開花が追いついた。7月〜8月は猛暑だったが、幸い9月に少し雨があり、これで葡萄が成熟した。長期保存が可能な熟した芳醇なミレジーム。色が非常に濃く、魅惑的な香りが既に広がっている。しかし、チョコレートのような超熟のニュアンスはない。やや酸度が低いが、柑橘系の新鮮な風味がある。大らかで、誰にも好まれるワインだろう。しかし、前例はなく、どんな方向に変化するか予測は難しい。総合評価(20点満点):15−16−17

2002年:過去最高の糖度に達した年

 開花期の天候不順でカベルネにも大量の結実不良が見られた。7月は乾燥していて冷涼、8月も涼しく雨が多かった。しかし、9月は日照に恵まれた。収穫葡萄の糖度は例外的に上がり、全品種で色、タンニン度が高かった。偉大な質を持つ長期熟成タイプのミレジーム。2003年産とは好対照をなすクラッシックワイン。濃縮したタンニンと十分な酸味が輪郭の鮮明な引き締まった印象を与える。やや樽香が強いが、十分な果実味があり、エレガント。まだ、複雑な広がりはないが、将来大いに期待できるワイン。総合評価:15−16

2001年:申し分のない年

 5月から好天に恵まれ、開花は早く一様に進んだ。夏は日中暑かったが、夜は冷涼。9月の好天で最後まで成熟した。特にプチヴェルドが良く熟した年。少しトーストやコーヒーの香り。タンニンに丸みがなくやや粗い。少し単調で複雑なニュアンスに欠けるが、アロマテック。総合評価:13

2000年:世紀を画する年

 開花のスピードが速く均一だった。7月は低温で雨が降ったが、8月、9月は暑く乾いた天候となり、この年の質に貢献した。偉大なミレジームに必要な全てを持ち合わせている。良く熟した黒い果実とほのかな木のアロマが混じった濃縮した香り。口に含むと繊細でしかも厚みのある丸いタンニンが感じられる。バランスよく、堂々としていて申し分ないフレッシュ感がある。総合評価:16

1999年:少し風変わりな年

 4月、5月は変わりやすい天候だったが、開花は均一に進んだ。8月23日から暑く、乾いた好天がやってきた。しかし、収穫期の天候は不順だった。ワインに重いところがなく、人を魅了する、良く熟した現代的なミレジーム。少し、コーヒーやチョコレートのニュアンスがある。熟した果実味、そして素晴らしい酸味が新鮮さを与えている。口の終わりに味わいが長く残る。大変魅惑的なミレジーム。総合評価:16−17

1998年:8月の好天で葡萄が成熟した年

 早い発芽。6月は好天。7月は冷涼で乾燥していた。9月初めは悪天候だったが、16日以降回復し収穫は申し分のない条件の中で終了した。高貴で大変クラッシックなミレジーム。活力があり濃縮している。香りはやや閉じている。口に含むとボリュームがあり、丸みのある熟したタンニンが感じられる。濃縮しており、かなり長期間保存できるだろう。総合評価:15−16

1997年:9月の好天で救われた年

 5月は寒く雨がちで、メルロは一部未結実、結実不良となった。6月は湿った天候で、灰色カビ病が発生した。8月は熱帯性気候で、収穫時期の天候は理想的。色はやや薄い。香りに複雑さ奥行きはないが、愛らしい魅力がある。熟成は完璧ではないがピュア。既に飲み頃。総合評価:13−14

1996年:偉大なカベルネの年

 6月の暑さでメルロは少し結実不良となった。8月26日から9月19日まで雲ひとつない晴天が続き、この年の質がきまった。9月19日以降、天候は不安定となったが、カベルネとメルローの糖度は過去最高を記録し、葡萄の状態は理想的だった。偉大なカベルネの年。ちょうど10年前の1986年のミレジームに少し似ている。厚みはないが、繊細で十分な濃縮度が感じられる。やや硬く、大変真面目な印象を与える。かなり長く熟成できるだろう。総合評価:14

1995年:バランスのとれた年

 夏は大変暑く8月に少し雨があり成熟が進んだ。メルローは素晴らしい条件下で収穫され、カベルネ・ソーヴィニヨンの収穫時も乾燥していた。メルロの豊かさが表現された年。少し樽の香り、香辛料の香りが感じられる。最初のアタックより、最後の方に魅力がある。総合評価:14−15

1994年:果実の純粋さが表現された年

 早い発芽。8月に一定の間隔で降雨があり、例年より早い時期に一気に色づきが進んだ。メルロの収穫は雨の下で行われたが、その後好天になりカベルネ・ソーヴィニヨンは成熟した。果実の純粋さが目立つミレジーム。タンニンのしなやかさに欠けるが、ピュアな果実味がある。複雑さ、力はないが繊細で興味深いワイン。早めに飲むべき。カベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロ31%、プティヴェルド9%。総合評価:12−13

1993年:英国人が好むスタイル

 発芽は早く、開花期の天候も素晴らしかった。7月に適度の雨、続く8月も天候は素晴らしかった。収穫期の天候は不安定だったが、葡萄は良く熟し、健全だった。高貴で洗練されたメドックの典型的なミレジーム。わずかに動物的で、腐葉土を感じさせる香り。口には熟した、ジャムのような果実味がある。複雑さはないが、しなやかでたっぷりした魅力的な味わいが感じられる。カベルネ・ソーヴィニヨン49%、メルロ38%、プティヴェルド13%。総合評価:15−16

1992年:雨のダメージを最低限に抑えた年

 夏は比較的暑く乾いていた。収穫期の天候は冷たく、しばしば雨が降った。メルロは健全な質だったがカベルネ・ソーヴィニヨンにカビが広がり厳しい選果作業を行った。やや薄い色合い。飲みやすいが、薄まった味わいで内容に欠ける。少し粗野なタンニンがある。カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロ35%、プティヴェルド15%。総合評価:12−13

1991年:大きな春霜の被害に合った年

 4月21日〜22日にかけての霜害で、多くの収穫を失った。8月は記録的な暑さ。9月も暑く、25日、28日、29日に大雨が降った。繊細さと良いバランスが特徴の収穫年。少しピュアな味わいに欠けるが、エレガントで、口の最後に魅力を感じる。カベルネ・ソーヴィニヨン45%、メルロ45%、プティヴェルド10%。総合評価:11−12

1990年:偉大な質を持つワイン

 5月から収穫まで旱魃が続いた。やっと雨が降ったのは9月22日、そして収穫の終わった10月に入ってから。しなやかさ、力強さ、凝縮、繊細さを併せ持つ完璧な収穫年。しっかりしたタンニンがきちっとしたボディを形成。濃縮したエレガントな果実味があり、新鮮で高貴なワインに仕立てられている。カベルネ・ソーヴィニヨン44%、メルロ44%、プチヴェルド12%。総合評価:17

1989年:20世紀で最も早い収穫

 7月の気温は平年より高く、8月、9月も暑かった。しかし、夜は涼しかった。1989年は技術を必要とし、慎重に醸造しなくてはならなかった。充実した色合い。芳醇ではないが複雑で濃縮した味わいがある。ほとんど欠点のないバランスのとれた素晴らしいワイン。カベルネ・ソーヴィニヨン55%、メルロ45%。 総合評価:15−16

1988年:ボルドーワインの典型

 春は湿りがちでベト病の危険が高まったため、念入りに薬剤散布を行った。夏はひどい旱魃で、9月の初めと終わりにわずかに雨が降った。収穫期は非常に暑く乾いていて理想的な状況だった。全く申し分のないクラッシクなワイン。わずかに変化した美しい色合い。膨らみに欠けるが、タニックで大変しっかりした構造がある。ゆっくりとした熟成で、このミレジームの特徴がよく現れている。カベルネ・ソーヴィニヨン59%、メルロ41%。総合評価:14−15

1987年:最も成育の遅かった年

 開花期に非常に雨が多く、気象条件はぱっとしなかった。7月は冷涼。8月は好天が続き暑かったが、収穫期は雨。熟し方が足りず、香り、味わい共にやや平板。しかし、柔らかい魅力的な果実味がある。カベルネ・ソーヴィニヨン56%、メルロ44%。総合評価:13

1986年:非常にタニックな年

 開花中の気象は良好。夏は旱魃だったが、収穫2週間前に雷雨があり、これによって十分熟した。収穫期の気象条件は申し分なかった。非常に濃縮した年で、カベルネが重要な役割を果たしている。やや変化した香りの中に少し煙のニュアンスがある。カベルネが良く熟しているので硬さはなく、エレガントで味わい豊か。カベルネ・ソーヴィニヨン57%、メルロ43%。総合評価:14−15

1985年:早い時期から魅力があった年

 夏は並みの気温で大変乾燥していた。収穫期は雨がなく、強い日差しを浴び、申し分のない条件下で進められた。新鮮で表情豊かなミレジーム。新生シャトー・ラグランジュの名声を築く第一歩となった年。充実した果実味。新鮮で魅力に富む。後口が長い。非常に若々しく、さらに10年以上問題なく熟成できる。カベルネ・ソーヴィニヨン57%、メルロ43%。総合評価:15−16

1984年:雨でメルロのなかった年

 開花期に多量の雨。メルロが著しく結実不良となった。収穫は雨の降る難しい気象条件の下で進んだ。醸造は前オーナーの残したコンクリートタンクで行われ、サントリーのスタイルに完全には移行していない。ややレンガ色に変化。厚みがなく口の中での伸びに欠ける。カベルネ・ソーヴィニヨン82%、メルロ18%。総合評価:13−14